新人Mの襲撃


あをい、この度やどかり出版社を退職することにしました。

……。

…………。


いやマジで。


そもそも退職についてはずっと前、それこそ3年ほど前から考えていたんですね。大体、うちの会社ってそれくらいでやめる人が多いので、自分もー、と考えておりました。それが同期たちに退職タイミングを先越され、後輩に先越され、上司から「新しいしごとあるけどやってみる?」って言われて「あ、おもしろそう。やりますやりますー!」って調子こいてしごとしてたら、もう入社●年、立派な管理職になりました。

まあ、管理職は管理職でおもしろいしごとでした。今もしごとそのものは楽しいと思ってるし、別に現時点では会社も嫌ってわけではない。好きでもないけど。あ、しごとは好きだよ。


でもですね、やっぱりあをいはライターというか、そういうしごとがしたいんだよねー、という思いが去年すごく高まりまして。そういうのにこだわったしごと(しかし書く内容にはこだわらない)をしようと心に決めたのですよ。


というのが、きれいな理由です。


汚い理由その①
産休・育休もなく、女性が妊娠したら退職というのが暗黙の了解の会社。しかし「わたしが会社を変えてやるわ!」という情熱が湧くほど居心地がいい会社でもない。給料は低いし、社内の立場も低い地味な職種。それが編集者だ。勤め続けてもプラスになる材料が皆無すぎて、会社にしがみつづける理由がない。

汚い理由その②

死ぬほど忙しい。このままでは過労死する。


この業界では別に驚くこともない状況かもしれませんが。いえいえ、でもですね、今のわたしの状況が、ちょっとひどいんですよ。
わたくしもですね、この業界長いので、締切がきついとか、クライアントがめんどうくさいとか、営業がわけのわからんオーダーもってくるとか、カメラマンがクソみたいな写真しかとってこねぇとか、色々なストレスに対してはそこそこ耐性があるつもりです。そういう意味でこの業界に居続けられる程度の精神力はあると思っておりました。

だが、管理職となると話は別だ。


特に、新人教育は話が別だ。


ここからが、今日のブログ内容の本題です。前述はただのリード文です。


去年の9月ごろ、新人Mが入社してきました。新人Mは、元バンドマンでバンド活動をあきらめて派遣やアルバイトをして独り暮らしをしている27歳の女性です。今のご時世、派遣だからといって能力が低いとは限りません。さらにMは数カ月、やどかり出版社の外注のテープ起こしライターとして雇用していましたので、しごとや会社の仕組みの説明が省けて楽ちん! 即戦力になってね! と期待していた新人でした。

ところがどっこい(死語か?)。

何度教えてもしごとを覚えない。しごとはじめに、入稿までの流れは説明し、逐一わたしや周りの先輩たちが、今の作業はここをやってるんだよ、と説明しているんですが、覚えない。「このしごとはここにつながってるから、とっても大切なんだよ」「はい!」っていうやり取りのあとに、実際にしごとさせてみせると、ミスだらけ。なにをきいてたの?というレベル。

まずメモとれよ。

「先輩がしごとの話してるときは、メモとろうか」と言ってようやくとるようになる。ここまでは、まあありがちな最近の(?)若者です。そしてそのメモを見て同じしごとをさせても、やっぱりミスだらけ。しかも前回やったミスも繰り返している。メモを見ると、メモが間違っている。もう一度メモをとらせるという親切ぶりを発揮しなければしごとが進みません。だが、ここらへんまでも、まあちょっと酷いけれども、しごとできない人にはたまにある現象でしょう。

報告・連絡・相談ももちろんできません。報告はこちらから促さなければ話はじめません。そして報告内容も、聞く限りさっぱり意味不明です。まったく相手に分かりやすく伝えようという気持ちがない、むしろ「わたしのこと、アンタタチわかってて当然よね?」という自分語です。連絡もできませんし、相談に至っては「なにを相談したらいいのか……」というレベル。でも、まあこれもわりとしごとできないひとにはありがちではあります。報告内容の支離滅裂ぶりはかなりのもので、言語障害を疑いたくなるレベルではありますが……。


さて、ここからが新人Mの本領です。

ある子が「印刷所に見本送るから、佐川呼んでくれへん?」と言って伝票を渡すと「……なんて言ったらいいんですか?」と応えるM。

は?

お前、荷物出したことねぇの? っていうか、電話するだけだし。聞かれたことに答えろよ、という。説明するのがあほくさくて、頼んだ子が電話しましたよ。

また、我々編集者にとって校正(赤入れ)は重要なしごとです。赤入れというからには、もちろん赤ペンで書きます。別にこれは出版社由来のルールではなく、ビジネスマンのルールとして「赤インクは変更指示に使うもの」ということが決まっております。だがMは言うのです。「この赤は赤で書いていいんですか?」と。今お前は何をしているのか。赤入れしてるんじゃないのか。「……赤以外のなにで書くの?」「一応シャーペンで……」一応ってなんやねん。赤は赤で書けよ。しかもこの話すんの3回目だぞ。赤入れを赤ペンで書くことがそんなに難しいことなのか。

ある日、Mがお客様からの電話を取りました。何度か応答して、いったん保留。そこまではなんの問題もありませんでした。「あの、電話が入っています」「誰から?」「……えーっと……」「じゃあ、誰あて?」「……それもちょっと……」「……代わりようがないから、お客様のお名前だけでも聞いてくれへんかな」。アルバイトでももう少しマシだぞ。

それでも書いてくる原稿のレベルが高ければ、まあ我慢できます。もちろん、こんなヤツの原稿がマトモなわけはありませんが。
原稿真っ赤になるほど赤を入れて、言葉づかいや文法がおかしい部分についてはマーカーを引き、「マーカー部分は変な使い方をしている単語だから、辞書を引いてなおすように」と指示をして返しました。そうして再提出されてきた原稿を見てたまげました。 全 く な お っ て な い。 本分がライターと自負するあをいさん、さすがにこれにはブチ切れて「ここは違ってるから辞書引いて、直せっていうたやろ?! なんでそのまま?! しかも誤字になってるやん!(←)」「えへへ。あってると思って辞書みませんでした」

は?????

珍しくマジ切れしたあをいさんの様子に、さすがのMもびびった様子です。「……間違っているものは間違ってます。辞書をひきなさい。辞書を引くことが面倒くさいなどと言っていては、私たちのしごとは成り立ちません。基本中の基本です。辞書を引きなさい。この言葉づかいは間違っています」「……はい……」


あまりに酷い所業だとは思いませんか? これは酷い、なんとかせねば。そう思ったまだ親切な上司のあをいさんは、年末休みに入る前、「仕事のきほん」という高校生だか大学生だか向けの自己啓発本を買ってわたしました。あまりに基本的すぎて、無論あをいさんはそのような本は読みません(今読んでいる自己啓発本は「7つの習慣」。Mには読ませても意味がない)。「これ、冬休み中に読んでおいてね」「……はい、ありがとうございます……」おお、ちゃんとお礼を言ったぞ。まあ、わたしで3時間ほどあったら読めたものだから、10日間ほどある冬休み中には難なく読めるやろう。それを読んで、年始行動が変わるかどうかから指導方法を考えないとね!

と、いう思惑をもって明けた新年。Mは初日から大ポカやらかして、わずかであろうと損益をだした。もちろん、叱るわたくし。「わたしは確認しろ、と言ったでしょう? そうしてあなたも確認するために待って下さいと言って、時間をつくりました。でも、あなたの仕事は穴だらけで、待った時間で一体何を確認してたのかわけがわからない。なにをしていたの?」「……できている…と思っていて……・」「できてるかできてないかを確認するんじゃないの?」「…すみません…」「すみませんではなくて、あなたが私の手を止めてまで、一体何を確認したのか知りたいの。それがわからなければ、具体的に注意することもできないでしょう? 休み前に渡した本にも、一緒に仕事している人の時間を考えなさいって書いてなかった? あなたを待ったことで、わたしは仕事が止まったんだよ」

「えへへ。あの本は読めませんでした!」

は????????

「……へー……読まなかったんだ。あ、じゃあなにか別の本を読んだんだ?(あの本でもまだ難しかったかなー)」「いえ。特には……」「……なにか、しごとについて勉強したことはある?」「……」「……親戚とか多いの? 親戚回りが遠方まであると、たしかに大変ね?」「いえ……・実家に、帰省していただけで、どこかに行っていたわけでは…・…」「……ふーん……」


ああ。こいつしごとする気ないんだわ。


ここでようやく気が付くあをいさんも大概人がいいよね、と思ったよ。普通、失敗続きの自分のために上司がくれた本、しかも「冬休み中に読んでおいてね」と言われたにもかかわらず、読まないってどんな神経してるの? これあをい舐められてるの?? こいつが上司??ププー、チョロwwwwとか思われてた???? 意味が分かんない。


そして昨日の帰り際、ずっと締切ぶっちぎり続けている原稿をようやく提出してきて、そのためにわたしは今日休日出勤をしました。そうでないと入稿に間に合わなくなるのです。ちなみに、Mも休日出勤をすると言っていました。ただ、わたしはMが締め切りをぶっちぎったためで、自分のしごとは家でもできました。Mも出勤してくるのなら、その日のうちに原稿を返却するつもりでスケジュールも組みました。でないと入稿間に合わないからね!

で、出社して原稿を見て、提出直前に見かけて「そこ、まちがってるよ」と指摘した部分が、またなおってない。しかも誤字脱字だらけ。こんなものを受け取って赤を入れていては、自分で見直す習慣がつかんと、つっ返すことにしました。結局、ちゃんと赤を入れるに値するものは1Pだけ。休日出勤してきた意味ってなんなんだろう。

Mが出勤してきたのは、お昼を回ってからです。そうしてわたしは「こんなものを提出すること自体が失礼です。直してもう一度持ってきなさい」と言って、とりあえず自分の仕事をすすめました。誤字脱字のチェックやレイアウトの基本的な修正などは、丁寧にやっても2時間でできるはずなので、せっかく休日出勤したのならこのノルマを終わらせたいと思ってのことです。

しかしMは今日、原稿を提出してきませんでした。

それについての報告や相談もありません。


もう知るか、という気持ちです。


どんなにこちらが育てようと思っても、はっきりいって心が折れます。おまけに、そのことを考えてとんでもなくストレスを感じています。体調が急激に悪化する程度にはストレスです。もう退職を上司に伝えてしまったので今さらなのですが、彼女をクビにしてわたしがあと半年残る、とかにした方が他の長年一緒に頑張ってきた仲間たちのためになると思ってしまいます。

気長に育てる、という観点は、いまの中小企業にはありません。いえ、それでもうちの会社は「気長」に育ててくれる方だと思います。コンビニや携帯電話ショップ、ファミレスみたいに何の知識もないまま現場に放り込まれることはありませんから。

ただ、Mについては酷過ぎる。学ぶ意欲もないし、自分のしごとがお客様にお金をいただいているという感覚もない。だれかに言われたとおりにやることだけがしごとだと思っているのかしら? いや、それなら言われたことはしっかりやれるはず。いわれたこともろくにできないし、やろうともしない。わたしなら、アルバイトでもいらない。派遣でも使えなさすぎる。高校生のアルバイトを雇う方がずっとマシに違いない。中学生だって、もう少しマシかもしれない。


と、まあ長々と愚痴で申し訳ありませんが、もうね、本当にこういう人がいるのか、という驚きと困惑とストレスでいっぱいなのです。

こいつとあと3か月は少なくとも一緒にいなければならないと思うと…はあ……もう来週には再びブチ切れそうな予感がする……・。


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