ババ抜き

みぬ「春美さん! 一緒にカードしましょうよ!」
はみ「ええ。いいですよ」
みぬ「じゃあ、勝った方が何でも好きなものパパに買ってもらえる、なんてどうですか?」
はみ「まあ! よろしいのですか? なるほどくん!」
みぬ「いいんですよー!ね、パパ!」
なる「…わかったわかった。じゃあ、勝った子の欲しいものをひとつ買ってあげるよ。…おーい、真宵ちゃんも交ざりなよ」
まよ「え! あたしもいいの?」
なる「うん。いいよ。皆、ズルじゃなければ、どんな策を使ってもいいからね」
みぬ「さっすがプロの勝負師! よーし! じゃあ、ババ抜きにしましょ!」

* *

みぬ「んー。だいぶ手札が減ってきましたね」
はみ「そうですねぇ」
みぬ「そういえば春美さん、勝ったら何がほしいんですか? 御剣のおじさまに言ったら、何でも買ってくれそうなのに」
はみ「ふ、夫婦だからと言って、なんでもお願いするわけにはいきません! そ、それに、れいじさんとおそろいのパジャマが欲しいと言ったら、きっと子どもみたいだと思われますもの!」
まよ「それ言ったら、御剣検事喜びそうだね。みぬきちゃんもさ、あのがりゅうくん? に言えば買ってくれるんじゃないの?」
みぬ「みぬき、勝ったら新しいマジックの道具がほしいんですよねー。ほら、商売道具ですから、響也さんにたかるわけにいかなくて」
はみ「真宵さまは何を? 今、里は真宵さまのご活躍で、随分経済的に潤っているはずですが…」
まよ「えへへ、それはナイショ。おっ! 皆、手札が3枚になったね」
みぬ「(そろそろ勝負どころかな)そうですね。
誰が、ババを持ってるのかな?」


はみ「いやですね。

そんなこと、誰も答えるわけがないじゃありませんか」

みぬ「ふふ。どうかな?(見抜きましたよ! 春美さん、今一瞬だけ左端のカードを見ました! ババは春美さんですね!)」

はみ「まあ。どういう意味でしょう?(見えましたよ、みぬきちゃんの《サイコ・ロック》! このタイミングで現われたということは、きっと、何らかの方法でババを持っていることが見破れるのですね。あるいは、自分がババを持っているか…。どちらにしろ、ブラフを仕掛けて正解でした!)

みぬ「ふっふっふっふ」
はみ「うふふふふ」

まよ「よーし! じゃあ、次引くよー! はみちゃん、手札出して。おっ! やったね。そろっちゃった!」
みぬ「ええ! ババ持ってたの、真宵さんだったんですか!」
まよ「うん、実は。さあさ、みぬきちゃん、ババ引いちゃって。サクッと」
みぬ「ううー! みぬき、カードでは負けたことないのに」
はみ「さすがです! 真宵さま!」
なる「真宵ちゃんには、ポーカーでもぼくは勝ったことないんだよね」
みぬ「そうなの? 真宵さんって、実はすごい勝負師だったんですね!」
まよ「いやあ。どんな策を使ってもいい、なんて言うからさ。ちょっぴり家元能力使っちゃった」
はみ「まあ? そのような力が真宵さまに?」
まよ「んーとね。《倉院流霊媒道》って、結構オカルト界では有名らしいんだ。それで、イギリスの偉い先生が、研究したとか、しなかったかとか。そのりろんのおーよーなんだ」
なる「ぼくがあれだけ説明したのに…。春美ちゃんはさ、自分の能力がどういう理屈なのかって、考えたことあるかな?」
はみ「いいえ…」
なる「弁護士辞めてから暇でね。少し調べてみたんだ。なんでも、霊媒師ってのは2種類あるらしいね。物質をサイコメトリーして、持ち主の《記憶》を読む。すると、本人しか知らなかったことをいい当てられる。まるで、死んだ人が蘇ったみたいに」
はみ「でも、わたくしたちは…」
なる「そう、《倉院流》は、本当に霊を降ろす。これを血筋で行うのは、世界的にも稀なんだそうだ。そして、もっと珍しいのが、姿まで本人になること」
みぬ「みぬきは見たことないけど、死人本人になっちゃうんですよね」
なる「実際に本人になるわけじゃない。事実、霊媒した人間の血液検査をすれば、霊媒師の血液反応がでるからね。とすると、やっぱり身体は霊媒師本人のものだ。

なら、発想を《逆転》する。《霊媒師が死人になる》わけじゃないなら《霊媒師が死人に見える》というロジックを立てるんだよ」
まよ「それだと、つじつまが合うらしいんだ」
なる「《霊媒には写真がいる》らしいね。それは、姿を知らないと、霊媒師が死人になれないからだ。けど、どうやってなる?
サイコキノ《精神感応者》という超能力を使う人がいる。ざっくり言うと、とてもセンシティブで《他人の気持ちが読める人》だ。そういう人が使う能力に、《幻覚能力》と言うやつがある。ものすごく共感能力を高めて、相手の意識をのっとるんだ。すると、《ないものをあるように見せることができる》。これが、《倉院流》の霊媒の理屈なんじゃないかな」
はみ「すると、わたくしたちは実際に降ろした霊になっているわけではなく、見ている方々が《そう見えている》だけということですか?」
なる「かもね。春美ちゃんの《サイコ・ロック》だって、相手の心を視覚化したものを見せてるんじゃないかな。ぼくはあの錠が、春美ちゃんの心に対するイメージなんじゃないかと思ってるんだ。だから、錠の形がぼくが知るはずのない倉院のからくり錠だったんだよ」
まよ「あたしたちはさ、人の心に触れながら生きてるんだよ。なんかいいよね。そーゆーの」
はみ「そうですね! 真宵さま!」
みぬ「みぬきの力とは違うの? ほら、みぬきみたいに知らない間に集中してて、相手の癖を見抜いてる、とか」
なる「みぬきが見てるのは、あくまでも身体反応だけだよ。相手の心の中を感じるわけじゃない」
はみ「それでは、先ほどのババ抜きも、その能力をお使いに?」
まよ「うん。2人が何考えてるのかなーくらいを、読んだんだ。2人とも、結構黒いよね」
はみ「!!! いや! ダメです! 真宵さま、嫌いにならないでください!! うわあああん!」
みぬ「真宵さん! それじゃあ、みぬきたちのこと、なんでもわかっちゃうんですか!?」
まよ「まっさかー。しんどいんだよ、コレ。お仕事以外じゃ使いたくないな」
なる「さて。それじゃあそろそろ勝者のお願いを聞こうかな」
まよ「ミソラーメン!」
なる「だと思った」
みぬ「あー! パパったら、一番強くて一番安上がりなお願いするから、真宵さん誘ったんだ!」
なる「みぬき。勝負に勝つコツはね、《勝てる勝負しかしないこと》だ」
まよ「じゃ、行こっか! なるほどくん」
はみ「いってらっしゃいませ! …うふふ。行ってしまわれました。相変わらず仲がよろしいですね」
みぬ「たまのデートがラーメン屋でいいのかな?」
はみ「愛する人が一緒なら! そこがどこでも夢の国です!」
みぬ「うーん。確かに、響也さんと一緒だとあらゆる意味でワンダーワールドですね」
はみ「ふふ。なんだかわたくしも、れいじさんに会いたくなってきてしまいました」
みぬ「じゃあ、一緒に検事局に行っちゃいましょうよ!」
はみ「そうですね! れいじさん、きっと驚かれます!」
みぬ「驚かすのがみぬきのお仕事ですからね。さあ、行きましょう!」

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