マックスくん、ひとやすみをする。


むらのおどりばにくりだしたマックスくんは、その牧歌的なこうけいにみとれました。
むらのまわりはきんいろの小麦の穂がかこみ、とおくから山羊のこえがきこえてきます。
マックスくんは、ここですこーしだけやすむことに決めました。

まんまるなおめめには、ひとりの青年がうつります。
茶色のかみに、あおいひとみ。おだやかそうな、かっこうよい青年です。
青年はマックスくんのとなりに腰をおろしました。

「…こんにちは。ここはとてもよいむらですね」
マックスくんがしたしげに語りかけると、青年はびっくりしたかおをします。

「うさぎがしゃべ…」
「ぼくのなまえはマックスくん。ただのうさぎをやめた、うさぎでないもの」
「…あー…。つまり、うさぎじゃない、と?」
「ぼくはマックスくん」
マックスくんがていねいにおじぎをしたので、青年もあわてておじぎ。
「俺はジャン=ジャック・ピエール。マックスくん、実は俺はこの村の人間じゃない。俺もマックスくんと同じことを思った、ただの旅人だよ」
「では、なかまですね!」
マックスくんはうれしそうに、ふあふあのほっぺをゆるませました。ジャン青年は、それをみておだやかに微笑みます。
「実はねぇ、人を探しに来たんだよ」
「こんなへんきょうのむらに?」
ここはフランスの片田舎で、おそろしくなにもありません。ぜいたくではないていどのたべものと、おいしいぶどう酒がある、ただのむらです。
いえ、ほんとうは、ちょっぴり豊かなむらなのですが、このむらに程近い砦でながいあいだ戦をしていて、たべものは傭兵たちがもっていってしまうのです。
戦を生業とする傭兵たちは、ながい負け戦に疲弊して、まもるべきむらびとたちをしいたげるのです。
まったくなげかわしい!
「辺境の村にね、随分びっくりするような人がいるらしいんだ」
「らしい?」
「ただの噂だよ」
「ただのうわさでひとさがしですか。それはずいぶんひまなんですね」
「はっきり言うね」
ジャン青年は苦笑します。
「どんなかたなのですか?」
「なんでも、『神に愛されし者』とか呼ばれてる、随分頭のいい人らしい」
「ふーん」
マックスくんはきょうみがわいてきません。というより、そういう宗教くさいおはなしがすきになれないのです。
もしかみさまがいるなら、アンリくんをたすけてくれればよかったのに、といまもおもうのです。
ですが、こんかいばかりはジャン青年のおてつだいをすることに決めました。
「なんといっても、ぼくとジャンくんはなかまなのですから! おてつだいをします!」
「ええ? いいのかい」
「ぼくならかまいません。しばらくこのむらにいるつもり…」
とマックスくんがいいかけて、マックスくんとジャン青年にめがけて、割れてさきのとがった木材がとんできました。木材は、ふたりのあいだをかすめてゆきます。
木材がかすめたおはながむずむずする…。
ジャン青年はあわてて木材がとんできたほうがくを見渡します。
しらないあいだによっぱらいが露店商人にからんで、屋台骨を折ってしまったようでした。
「あぶないな! 止めて来るよ」
ジャン青年はたちあがって、歩をすすめます。茶色のかみが午後の斜陽にすけて、きらきらひかってとてもきれい。マックスくんはうっとりとそれをみつめました。
やがてジャン青年は大乱闘をくりひろげる商人とむらにいるごろつきに、わって入ろうとします。
「おい、その辺で―」
ジャン青年がこえをあげかけたその時です。

「そこまでよ」
かんだかい少女のこえが、むらのひろばを支配して…。

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