シスターの少女 第7話

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ばす、ばすっ
 軽い音が何度かして、盾に使った木造の机に小さな穴が開く。
「な・・・!?」
「拳銃・・・!」
 なるみが、元店の女だったものを見た。血の流れる一点を見やる。
「357マグナム・・・!」
「おい、朝日!裏口がある!さっさと逃げろ!」
「ばか!あんたはどーすんのよ!!」
「ガキは自分の心配だけしてろ!」
「ガキとか、かんけーないでしょ!!」
 言ってなるみは近くの倒れたイスの足を掴んで、敵がいるであろう方向に投げた。銃声が止む。イスが壁にぶつかる音。相手の動きが一瞬止まったと感じ、すぐさま龍石が敵に肉薄する。
 敵は、龍石よりは背の低い、若い男だった。一言で言って、細面の柔和な男。白い手には、いやに銃身の長いリボルバー拳銃が握られていた。男は、とっさに龍石の繰り出した拳を避け、後ろに飛んで間合いをとった。
 改めて、なるみは相手の顔を見て――驚きを露にした。

「あんた・・・静・・・!?」

「・・・?どこかで、あったことがあったかな?シスター。」
 龍石はなるみを見た。
「知り合いか・・・?」
「・・・ううん。知った顔、だっただけ。こいつリオ派の元下仕官で指名手配されてたから。」
「・・・なるほど。」
 静と呼ばれた男は、軽く肩をすくめた。
「旅の人、みたいだね。シスター?この村を大人しくでていくなら、俺は君たちを追わないよ。」
「・・・なんで、この人を殺した!?」
 龍石が、怒りも露に静に問いただした。
「前から、気に入らなかったのさ。村から出れば生かすと言ったのに、抵抗もせずに大人しく殺されるようなやつ、俺は・・・リオ派は、認めてないのさ。そんな奴は、死ねばいい。望どおりに。」
 静は、苦々しげにそう言って、サイレンサーのついたリボルバーの銃口を龍石に向けた。
「君はどうする?生きたいか?死にたいか?」
「生きたいに決まってるだろう。お前なんかに殺されてやるほどお人よしじゃないんだよ。」
 その言葉に、静はふっと笑って、今度はなるみを見た。
「シスターは?」
「あたしも、大人しく殺されてやるほど気前良くないわ。でも、目の前で人を殺した奴を見過ごすほど薄情でもないわよ。」
「それだけ聞ければ十分だ。」
 静は銃を下ろし、腰につるしたホルダーに銃身を収めた。
「一日やる。この村からでるんだ。でなければ、殺す。」
 そう言って、静かは店から去った。
 龍石は、静かな店内で痛ましい気持ちになった。足元の元女を見る。
「・・・一撃かよ・・・。ひでぇな・・・。」
「龍石。」
 呼ばれて、龍石は目線を上げた。調理場の奥に、少年がいた。大きな目に、涙を一杯に溜めて、青ざめた表情でこちらを見ている。
「君は・・・?」
「・・・お姉ちゃん・・・。」
 少年は、ぽつりと言った。
 なるみと龍石はそれで、全てを悟り、同時に申し訳無い思いに駆られた。
「あの・・・その・・・。」
 なるみは狼狽した声を出した。
「すまん・・・。」
 龍石は、潔く頭を下げた。
 少年は、走って姉だったものへ近づいた。涙を流した。
「で。どうするの?龍石は。」
 なるみがその様子を見て、感情の篭らない凍った声で尋ねると、龍石は少し考えてから、言った。
「お前は?」
「そうね、とりあえず。」
 なるみは死体の傍に座った。

「この人を埋めてあげないと。」


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