シスターの少女 第5話


「・・・リオの?」
「あの人、まだ生きてるんですか?」
 女の言葉に、こくりとなるみは頷く。
「別に政府は、リオを殺した、なんて発表はしてないわ。噂によると軽井沢の一室に軟禁してあるとか。リオ派ではね、リオ=ログネスは神様なのよ。彼女さえいれば、それで自分たちは救われた気分になるの。」

「なんだか宗教じみてるな。」
「そうよ。でもね、これは関東政府や平安神宮にも言えることなのよ。『朗は、関東を救った英雄』とか、『摩耶閣下は弁天様の隠し子』だとか。『リオは生きとし生ける者の母』って思想とたいした違いはないでしょう?」
「・・・弁天様の隠し子って・・・そんな二つ名ありましたっけ?」
 女のつっこみをさらりと流して、なるみは龍石に視線を向けた。
「それで、明石大橋を占拠して平安神宮に向けて脅すわけよ。『リオを開放せよ。さもなくば明石大橋を爆破する!』ってね。こんなところなんでしょう?」
「ば、爆破?」
 驚いた声を上げる龍石。女はなるみの言葉に頷いた。
「多分、そんなところだと。関西政府・平安神宮は貿易で邦を維持しています。それの要が、九州・沖縄をつなぐ明石大橋の存在。九州がなければ、西日本なんてあっという間に関東に飲み込まれてしまいますから。」

「それで、脅して関東政府に掛け合わせてリオを開放する―――って、それってなんだか・・・」
「単純よね。」
 すっぱりとなるみは切って捨てた。
「実際、関東政府も平安神宮もそんな策にのってくるとは思えない。何せ、あたしが4歳のときから謀略だの政治だの戦略だのに青春費やしてきた人たちだもん。計り知れないよ。」
 なるみは、言葉を切ってどこか遠くを見た。傍で見ている龍石は、妙にリオ派にくわしいガキだな、と思ったが、何も言わなかった。
「それで、そこまで分かってて、どうして町をでないの?」
 
 店の女は、なるみの問いに肩を震わせていた。

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