シスターの少女 第11話


それは、かつて所属していた組織で。かの人の、影に隠れて。

「なるみ・・・!」

 朝日、なるみ。あさひ なるみ。アサヒナルミ。
朝比奈 るみ―――!!

「暗殺者 朝比奈 るみ・・・!」

「ご名答。静くん。」
 笑いもせずに、なるみは銃口を静に向けた。
「暗殺者 朝比奈るみ――って、静。それ、リオ派の暗殺者で関東政府軍の四ツ屋 刃〈よつや じん〉 大将を殺した銃使い〈ガンマン〉の名前じゃあ・・・!?」
 取り巻きの男の言葉に、静は皮肉気に笑った。

「ああ。俺は一度、リオ派にいたときに見かけたことがある。」

 暗い瞳をした、明るい茶色の髪の少女。今よりも更に幼く、小さい身体で誰よりも早く敵を殺してきた、子ども。

 見かけただけで、今にも殺されそうなほど、切れそうなほどの鋭い瞳をしていた。
 静は冷や汗が吹き出るのを感じた。
「君が・・・シスターをしているとは思わなかった。いや、賞金稼ぎをしているとも思わなかったな。殺してきた人に対する懺悔のつもりかい?」
 口調だけは強気に。弱みを見せれば、間違いなく殺されると思った。
 なるみは、少し表情を柔らかくした。どこか、諦めた大人のように。
「違うわね。あたしがシスターしてるのは、死んだ両親がクリスチャンだったからよ。でも、それだけじゃ食べていけないから。それで賞金稼ぎしてるだけよ。折角、リオに教えてもらった技術だしね。」
 なるみは、6回。常人には理解できない速さでトリガーを引いた。今度は、止まっている相手だったので殺さずに、気絶させたり、動けなくしたりするだけで終わった。空薬莢を取り出し、また弾を込める。恐ろしいほどに慣れた手つきだった。
「今すぐ、この村から出て行きなさい。」
 静かに、なるみは言った。恐ろしいほど抑揚のない声。それは、暗殺者の声と瞳だった。

 このままでは、やられる。静は慌てて口を開いた。何か話さなければ、殺されると思った。
「リオを・・・救いたいとは、思わないか?」

 静のその一言に、なるみは動きを止めた。必死になる静。もちろん、そうとは気付かせない。
「君は、リオの腹心の一人だった。リオをこのまま、軽井沢に幽閉したままでいいのか!?その気になれば、リオを救い出せるんだぞ?」
「リオは・・・リオには、もちろん恩がある。」

 静は、しめた、と思った。

「あたしが死にそうなとき、彼女が助けてくれた。あたしが殺されそうになった時、この銃をくれたわ。使い方がわからないといったら、教えてくれた。」
「なら、俺たちと一緒に、リオを助けに行かないか?朝比奈 るみの名前を出せば、各地のリオ派がまとまって動くようになるはずだ・・・!そうなれば、リオを救い出して第三勢力としてリオ派を確立することだって・・・!」

「無理よ。」
 なるみは、即答した。激昂する静。
「何故だ!?」

「リオがその気になれば、いつだって幽閉室から抜け出せるはずなんだもん。」

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